建築デザイン学科とのコラボ実現!「しなやかな建築ロボティクスを考えるワークショップ」開催
2026/10/21
9月18日~19日 BKCにおいて、建築デザイン学科の吉富研と共同で、国際ワークショップを開催しました。
本シンポジウムは理工学研究科の「大学院生が国際的な舞台へチャレンジできる場の創生支援」の支援を受けて開催されました。
以下、運営学生によるレポート(暫定版)を許可の上で転載させていただきます。
Workshop on Flexible Architectural Robotics 開催レポート
ー建築とロボティクスの融合による持続可能な社会の実現を目指してー
9月18日~19日の2日間、BKCにおいて、建築デザイン学科・吉富研究室との共同による国際ワークショップ “Workshop on Flexible Architectural Robotics” を開催しました。
本ワークショップは、理工学研究科「大学院生が国際的な舞台へチャレンジできる場の創生支援」の支援を受けて実施したものです。
建築デザインとロボティクスという異なる専門分野の学生・研究者が集まり、海外研究者による基調講演、学生による英語ポスター発表、国際混成チームによるワークショップを通じて、持続可能な社会に向けた新しい建築ロボティクスの可能性について議論しました。
参加者は55名。これまで交流の機会が少なかった建築とロボティクスの学生が、分野や国籍を越えて議論し、具体的な未来の建築・ロボットシステムを構想する2日間となりました。
開催概要
- 日程 :2026年9月18日~19日
- 会場 :立命館大学びわこ・くさつキャンパス
- 参加者 :55名(立命館大学学生43名、SUTD学生2名、教員・研究者10名)

Day 1
Keynote by International Researchers
初日は、建築ロボティクス分野を牽引する研究者による基調講演からスタートしました。
まず、ドイツミュンヘン工科大学(TUM)・元教授で、建設ロボティクスの世界的権威でもあられる Thomas Bock氏は、建設ロボットの発展の歴史を振り返りながら、ロボット活用を前提とした建築設計や施工システムのあり方について紹介しました。施工だけでなく、維持管理や解体までを含めた建設プロセス全体を捉え直す重要性についても示されました。
講演概要: flyer_KensetsuRobotics_ProfBock

続いて、シンガポール工科デザイン大学(SUTD)のEduardo Sánchez Cruz氏は、急用で来日が困難になったMohan Rajesh Elara氏の研究室を代表して、再構成可能ロボットやRobot-Friendly Buildingに関する研究を紹介し、ロボットが活動しやすい建築環境の設計や、AI・IoTを活用した施設管理の将来像、そしてMonhan先生が運営されているロボットベンチャー企業について講演しました。
講演概要:flyer_Ritsumeikan_EduardoSanchez

Student Poster Session
初日後半には、学生によるポスターセッションを実施しました。
建築分野とロボティクス分野の研究を交互に配置し、参加者が分野の壁を越えて自由に議論できる形式としました。学生は英語で自身の研究を紹介し、海外研究者や他分野の学生との活発な意見交換を行いました。
発表テーマは、
- 振動計測を利用した構造健全性モニタリング
- 空間構造とロボット工学を融合した新しい建築システム
- 自律油圧ショベルの高機能化
- 油圧駆動モジュラーロボット
- 建物のロボット対応度の定量評価
など多岐にわたり、計18件の研究発表が行われました。
研究内容の紹介にとどまらず、社会実装の可能性や今後の研究展開についても議論が広がり、建築とロボティクス双方の視点から研究を捉え直す場となりました。


Day 2
International Student Workshop
2日目は、建築分野とロボティクス分野の学生・研究者による国際混成チームを編成し、建築とロボティクスを活用した社会課題の解決策を考えるワークショップを実施しました。
各チームでは、ブレインストーミングによってアイデアを出し合い、建築とロボティクス双方の視点から提案を具体化しました。最終発表では、防災、建築施工、循環型建築、モジュール建築などをテーマに、未来の建築ロボティクスにつながる多様なアイデアが発表されました。

学生たちから生まれた4つの未来像
- AIとロボットによる災害時の建物診断支援
ドローンや地上ロボットによる3D計測とAIによる損傷評価を組み合わせ、被災建物の危険度判定を安全かつ迅速に行うシステムが提案されました。
- 災害対応型ロボットネットワーク
平時には配送等に使用されるロボットやドローンを、災害時には建物調査や物資輸送に活用する構想が提案されました。既存のロボットインフラを平時と有事で共有する新たな可能性について議論しました。
- 自動組立・解体を前提とした循環型建築
モジュール建築とロボット施工を組み合わせ、建築物の組立・解体・再利用を容易にするシステムが提案されました。建設作業の省力化と資源循環を同時に実現することを目指した提案です。
- 可動型モジュール建築
建築ユニット自体が移動可能な未来型建築のコンセプトが提案されました。災害への適応や建築物の長寿命化など、従来の固定的な建築とは異なる新しい建築システムの可能性について議論しました。

建築とロボティクスを「一緒に考える」
2日間を通じて特に印象的だったのは、単に「建築にロボットを導入する」という発想ではなく、建築環境そのものとロボットを同時に設計するという視点が共有されたことです。
建築分野とロボティクス分野の学生・研究者がそれぞれの専門性を持ち寄ることで、ロボット単体の性能だけでなく、建築環境、施工方法、社会システムまで含めて考える必要性が明確になりました。
また、学生にとっては、英語による研究発表や海外研究者との議論を通じて、自身の研究を異なる専門分野や国際的な視点から捉え直す経験にもなりました。

Networking Reception
ワークショップ終了後には懇親会を開催しました。参加者は食事を囲みながら交流を深め、研究や学生生活に関する話題などについて和やかな雰囲気の中で会話を楽しみました。
また、TUMとSUTDからの海外参加者に加え、立命館大学内の建築都市デザイン学科とロボティクス学科の学生同士が交流する機会にもなり、新たなつながりを築く場となりました。
Message from SUTD
ワークショップ終了後、SUTDのYu Ling氏からメッセージが寄せられました。
Dear Prof. Hyon and Prof. Yoshitomi,
On behalf of our team at SUTD, I would like to thank you once again for your warm hospitality during our recent visit to Ritsumeikan University.
The two days of workshops, lectures and poster presentations were truly enriching. We learnt a great deal from your students, and it was a real joy to exchange ideas with them and learn from both architecture and robotics perspectives. Their curiosity, thoughtfulness and generosity in sharing their work left a lasting impression on all of us.
We would also be very grateful if you could convey our sincere thanks to the students who worked so hard behind the scenes. Their careful planning and attention to detail ensured that the symposium ran smoothly and successfully, and we truly appreciated all their efforts.
We very much hope this is the beginning of a lasting friendship between our institutions, and we look forward to the opportunity to welcome you and your students to Singapore in the future.
Thank you once again!
With warmest regards,
Yu Ling
SUTD側からも、学生同士の交流や、建築・ロボティクス双方の視点から学び合えたこと、そして運営学生の準備・サポートについて高い評価をいただきました。
Participant Feedback
事後アンケートには23名から回答がありました(対象43名、回収率53.5%)。
回答者の評価では、すべての主要項目で5段階評価の4.0以上となりました。
- 国際的な研究視点・学術ネットワーク形成の契機:4.1 / 5.0
- 英語による研究成果発信能力の向上:4.3 / 5.0
- 学際的な研究力・視野の獲得:4.0 / 5.0
- 今後の共同研究・国際活動への意欲向上:4.1 / 5.0
特に、事前準備や当日の運営に主体的に関わった学生については、企画・運営を通じた実践的能力の向上が4.6 / 5.0となり、研究発表だけでなく国際イベントを企画・運営する経験にも大きな教育的効果があったことが示されました。
参加者からは、
「海外研究者・海外学生と英語で直接交流することで、普段とは異なる研究視点に触れることができた。」
「建築とロボティクスを組み合わせることで、自分の研究を新たな視点から捉え直すことができた。」
といった声が寄せられました。
今後に向けて
今回のワークショップは、これまで交流の機会が少なかった建築デザインとロボティクスの学生・研究者が、共通の課題について議論する最初の一歩となりました。
この交流を今回限りで終わらせることなく、今後は学生交流、研究室間の共同研究、企業・建設現場の見学、相互訪問などにも発展させ、「しなやかな建築ロボティクス」という新しい研究領域をともに育てていきたいと考えています。
謝辞
本ワークショップの開催にあたり、ご講演・ご参加いただいた海外研究者の皆様、建築都市デザイン分野およびロボティクス分野の学生・教職員の皆様に心より感謝申し上げます。
また、企画準備から当日の進行まで主体的に取り組んだ学生運営スタッフの皆さんに、改めて感謝します。
皆様のご協力により、建築とロボティクスをつなぐ有意義な国際交流の場を実現することができました。

